植物は、光合成によって、太陽の光エネルギーを利用して、二酸化炭素と水から炭水化物を中心とした有機物を合成し、酸素を放出します。
植物は、すべての生物が生存するためにどうしても必要となる有機物を供給し、また大量の酸素を大気中に放出しています。
逆に有機物を燃やすということは、有機物のなかに含まれている炭素が酸素と結合して、二酸化炭素として大気中に放出されることを意味します。
動植物の呼吸作用は、生物体を形づくっている有機物の燃焼にほかなりません。
の量など、年々どのくらい炭素が交換されているかを示したものです。
マウナロアの観測大気中の二酸化炭素の量はどのようにして知ることができるのでしょうか。
大気中の二酸化炭素の量を正確にはかることができるようになったのはごく最近のことです。
一九五八年、国際地球観測年がもたれましたが、その企画の一つとして、ハワイ島にある、アメリカの海洋大気庁のマウナロア観測所で、大気中の二酸化炭素の濃度を測定する作業がはじめられたのです。
マウナロアは、標高四一七〇メートル、ハワイで最大の活火山です。
マウナロア観測所は、マウナロアの北斜面の大溶岩帯にあって、標高三四〇〇メートルの高さにあります。
太平洋の真中にあって、しかも三〇〇〇メートル以上の高いところで、局所的な変動の影響をうけないので、地球全体の平均的な二酸化炭素の濃度を測定できるのではないかということでマウナロアの観測所が選ばれたわけです。
そしてここに、アメリカのスクリップス海洋研究所のキーリングによって、大気中の二酸化炭素の濃度を連続して精密観測をおこなうことがはじめられたのです。
図5は、一九五八年から一九九〇年までのマウナロアでの測定結果を示したものです。
この図からわかるように、大気中の二酸化炭素の濃度が年々上昇しつつあり、しかも最近になるほど、その増加のペースが高まる傾向をもっています。
じじつ、キーリングたちの報告によれば、一九七〇年代までは、大気中の二酸化炭素は、年平均〇・八ppmずつ増加していたのですが、最近では、年平均八ppmの割合でふえています。
北半球では、春から初夏にかけて、木々の芽が出て、新しい葉が育つ季節には、植物の光合成がさかんにおこなわれ、大気中の二酸化炭素の濃度が減少します。
夏がおわって、秋から冬にかけて、葉が落ち、木々の枝が枯れる季節になると、光合成はおこなわず、逆に森林から大気中に二酸化炭素が放出されます。
マウナロアでの大気中の二酸化炭素の濃度の測定がほぼ正確に、地球全体の濃度をあらわすものであることは、マウナロア以外の多くの場所でおこなわれている観測からもたしかめられています。
マウナロア観測所での測定をはじめた一九五八年以前については、精度の低い散発的なデータしかありませんでした。
そこで、もっと、古い時代の二酸化炭素の大気中の濃度を知る方法として注目されたのが、氷床コア分析という方法です。
南極大陸はかたい氷床でおおわれていますが、氷床の氷のなかには空気の泡が閉じこめられています。
氷床をボーリングして、氷床コア(氷のかたまり)をとりだし、そのなかに閉じこめられている空気を分析すれば、二酸化炭素の濃度が測定できるわけです。
この新しい測定方法を使うと、いくらでも過去にさかのぼって、大気中の二酸化炭素の濃度を測定ずることができます。
南極の氷床は、毎年降った雪が氷となって年代順に積み上げられていますから、氷床を深くボーリングすれば、昔降った雪の氷床コアをとりだすことができ、そのなかに閉じこめられている空気のサンプルを分析すればよいからです。
一部は、マウナロアでの測定結果をつなげてあります。
この図からよみとれるように、大気中の二酸化炭素の濃度は、一七五〇年頃には二八〇ppm前後だったのが、一九六〇年代には三〇〇ppmを超え、その後加速度的に上昇しています。
一七五〇年というのはちょうど、産業革命がはじまろうとしているときです。
新しい科学技術をとりいれて、大量生産の工場を中心として、経済が飛躍的に拡大されるようになった産業革命は、ながい人類の歴史のなかでもとくに注目される出来事です。
産業革命を可能にしたのは内燃機関を利用した新しい動力でしたが、それは化石燃料の燃焼によるものでした。
石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料は、かつて地球上に生存していた生物といっても大部分は植物ですが枯死して、炭素化合物として地中深く海底のところもあります。
埋もれていたものです。
化石燃料を燃焼するというのは、前にも述べたように、何千万年から何億年も地中深く貯えられていた炭素を酸化して、二酸化炭素として大気中に放出することを意味するわけです。
もっとも、産業革命がおこってからしばらくは、化石燃料の消費は急にはふえていませんでした。
十八世紀なかばから十九世紀のおわり頃まで、大気中の二酸化炭素の濃度が上がっているのは、森林を切り開いて農地にしたからだといわれています。
産業革命の結果、生産性が高くなって、人口が急にふえはじめたのが原因だったと思われます。
化石燃料の消費は、二十世紀に入って大幅にふえはじめました。
第二次世界大戦がおわってからも、化石燃料の消費は年々高いペースでふえつづけました。
さらに、一九六〇年代に入ると、発展途上諸国での経済発展が進み、それにともなって人口も大幅にふえることになりました。
この三〇年間の、化石燃料の消費のふえ方はとくに大きいものがあります。
化石燃料の消費と大気中の二酸化炭素の濃度の上昇との間には密接な関係があることは、容易に想像できます。
年々消費される化石燃料から出る二酸化炭素の五八%が大気中に残ると仮定したときの、大気中の二酸化炭素の濃度をあらわしたのが実線のグラフです。
マウナロアでの観測にもとづいた実際の濃度をあらわす点線のグラフとほぼ一致していることがわかります。
このことだけからでも、化石燃料の燃焼によって大気中に放出される二酸化炭素のうち、五八%が大気中に残って、残りの四二%が、海や森林に吸収されるという結論を出すことができるように思われます。
現在世界全体で大気中に放出される二酸化炭素は年々炭素換算五六億トンから六〇億トンに上ると推計されています。
地球が誕生したのは、だいたい四六億年前だったといわれています。
ガラス状の物質や固体粒子のかたちをした宇宙塵を含む冷たい原始雲からでした。
この原始雲が太陽のまわりを回って、おたがいに衝突し合っているうちに、固体粒子がだんだんかたまっていって、微惑星とよばれる小天体に成長し、それらが合体しあっていまの地球のような惑星となったと考えられています。
はじめには冷たかった原始地球は、微惑星が次々に衝突することによって大きくなるとともに、その温度が上がってゆきました。
微惑星が衝突する際の衝撃で原始地球の表面から二酸化炭素や水蒸気が蒸発して地球のまわりをおおいました。
その保温効果で地表は一五〇〇度にもなりました。
現在、地球の内部温度は、五〇〇〇度から六〇〇〇度の間といわれています。
地表の平均温度はずっと低く一五度前後です。
地球は大きくなるにつれて、微惑星の衝突も減り、衝突で出る熱が少なくなって、温度が下がってきました。
そしてあるとき厚くおおっていた大気から水が冷えて雨が降りました。
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